キラリ光る女子トップ >vol.30
菓子工房&カフェ「エレファントスイーツ」/片山直子さん
「小さい頃からわりと食べることが好きではあったのですが・・・気付いたら今の道に進んでいたというかんじです」。そうおっとりとした笑顔で話してくれたのは、菓子工房&カフェ「エレファントスイーツ」を営む片山直子さん。2歳の男の子をもつお母さんです。
お料理全般に興味のあった片山さんですが、まずはいずれかの分野に特化したいという思いから、高校卒業後は製菓の専門学校へ。日中は学校で製菓の基礎を学びながら、授業後はホテルの調理部へアルバイトにでかける日々を送ります。卒業後は同ホテルの製菓部へ正式採用となり、一心不乱に菓子作りへの道を邁進してきました。
お菓子やパンなど
片山さんの転機は、まさに“ご縁”によってもたらされます。ホテルで製菓を専門に働いていましたが、女性や若い人にも好まれるお料理やおもてなしも学びたいと、そののち町中にあるカフェに転職。そこで働いていた時に、農園を経営している父親から突然連絡が来たのです。「カナダで農園レストランを開いている農業仲間がいるのだが、住み込みの研修生を募集している。勉強しに行く気はあるか?」と。もっともっと料理の道を学びたい、究めたいと思っていた片山さんは、迷うことなく即答します。「絶対に、行く」。
カナダでの研修の日々は驚きの連続だったそうです。農園レストランと銘打っているだけあって、お店での調理は、まず“材料を育てる”ところから始まります。オーガニックの野菜、自然に近い状態で放牧されている豚や鶏たち。いただく命を身近に感じているがゆえ、調理には敬意と感謝をもち手間暇を惜しみません。そうしていただくお料理の美味しいことと言ったら・・・。「私もこんなお料理を作ろう」。つよくそう感じたのだと言います。
そののち生まれ故郷である廿日市市吉和にもどってきた片山さんは、あらためて自分のふるさとの良さに気付きます。「清流にはぐくまれたお米と野菜、緑ゆたかな大地。ここでなら、私の目標とする料理が作れるかもしれない」。
はじめはテイクアウト専門の菓子工房としてスタートしたエレファントスイーツですが、2011年にランチも食べられるカフェを増築して再オープン。今では常連客が足を運ぶ、吉和きっての人気店です。
日当たりの良い気持ちいい店内
今日のランチ:850円 いちごのタルト:350円
「はじめは気軽に入ったこの道ですが、ますますお料理が好きになり、たくさんの縁をいただいてお店を経営するようになりました」と話す片山さん。目下いちばんの悩みは、やんちゃざかりの2歳の息子のこと。「好奇心旺盛で何をするかわからないので、おんぶしたまま調理をすることもあるんですよ」と笑います。
仕事も育児も中途半端にしたくないので、現在は保育園の入園願いを申請中だそうです。「お店の経営と育児とをどこまで両立できるかわかりませんが、支えてくれる人たちのためにも、できるところまでやってみようと思うんです」。
夢を追うことと母親であることは両立することができる―片山さんの目が、強くそう語っていました。
手作りの雑貨も販売しています